【暇'sセオリー16】勝手T.D.T走ってきたよ 〜最終回：限界を感じている暇はない〜
最新のクエスチョン5社製のレインウェアをゲットし、サロ門を目指します。
雨は引き続き、時に激しく降っていましたが、いかんせん「もう完走したも同然です」からね。
あとはロードだけなので、何とかなるだろうと軽い気持ちで足を進めました。
とはいえ、残り65km、何が起こるか分かりません。
後はこの川沿いをずーっと進むだけ。
コースがイメージしやすいからか、完走がより具体的・現実的に感じられてきました。
それにしても雨が酷い、時に風も酷くなり、最新のレインウェアをもってしても、なかなかタフなコンディションに。
体温がどんどん奪われていく感覚です。
皆段々無口に…
何かキョロキョロ探しているようにも見えました。
え？そこで堤防登るの？公園に行く？ちょっと挙動不審に見える2人。
幻覚でも見えてるのだろうか…
あ、これだったの？
たみさんが私設エイドをオープンしてくれていました。
大のたみさんファンであるこーたろーとペンちゃん、たみさんが福生公園で私設エイドを準備中と聞き、
テンションマックスになり、福生公園を探していたのでした。
（ことごとく違う公園に侵入しまくっていましたがw）
温かいおしぼり、神！
そしてたみさんと言えばアポロチョコ！
早朝に遠方から寒い中、たみさん本当にありがとうございました。
若干背中がさみしくなった感じのこーたろーと後ろ髪惹かれすぎて坊主になってしまったペンちゃんの先導で
サロ門を目指します。
それにしても酷い暴風雨。
時々「これ台風じゃね？」と言いたくなるような暴風雨に見舞われました。
気温も上がらず、体力を奪っていきます。
走ることに限らず、コントロールできるのは自分だけですからね。天気を嘆いてもしょうがない。
ネガティブにならないよう、完走を信じ切るメンタルにセットすること、とにかく足を進めること、
これだけを考えて足を進めます。
気づいたら、たみさんエイドから25キロほど過ぎて、空腹と寒さがピークに。
そんなタイミングで神降臨！
まりあさんが盛大にエイドをオープンしてくれていました！
UTMF明けのお疲れのところ、実はもう4時間くらい待機してくださっていたという…
しかも前日奥様、お子様たちとサロ門にお見送りに来てくれて、その後から豚汁はじめ入念な仕込み！
まりあさん、マヂ感謝！
UTMFファイターで100マイルは人生だ！
何度も立ってるからこその微に入り細にわたるエイド、心配り、有難かったです。
そしてとても勉強になりました。
まりあさんと記念撮影
笑顔でまりあさんエイドを後にします。
お腹一杯、体も大分温まって、いよいよ残り20キロくらい、
好事魔多し、予期せぬトラブルが…
まりあさんエイドから2㎞ほどいったところにラーメン屋さんが新規開店していました。
骨折ウルトラランナー、DNP田中さんのラーメンエイドでしたwww
田中さんの周りにはいつも爆笑が一杯！
お腹いっぱいなのに、ラーメンが美味しくて箸が進む進むwww
醤油ラーメンに塩ラーメンと2種類用意してくれている徹底ぶり。
我々の到着時刻を計って、お湯を沸かし、湯切りして…
ラーメン屋のプロフェッショナルですね。
とてもリラックスできて、最後に超ポジティブなエネルギーをもらいました！
DNP田中さん、ありがとうございました！
って足を進めたら、また2㎞先にアイスクリーム屋さんが新規開店していましたwww
車で並走してくれたDNP田中さんのアイスクリームエイドでした(笑)
車で食べていた、食べかけのチョコモナカジャンボとコーラを差し入れてくれました。
生存確認もしていただき、全国で固唾を飲んで行く末を心配しているみなさんに配信していただきました。
ともさんのトモズセオリーにある「辛かったら笑え、楽しかったらもっと笑え！」を
これほど実感したことはないですね。
DNP田中さん、ありがとうございました！
満腹でパンパンに張ったお腹を抱え、いよいよ残り20㎞を切りました。
完走もほぼ確実と思えた頃、各自に異常が散見し始めました。
まあ140㎞近く走ってますからね、そりゃ何かありますよ。
眠かったんすね…
いや、「瞼の裏側を見ている」んですね。
ポジティブ変換器大事！
走りながら瞼の裏側を見ている人、（河川敷じゃなければ車に轢かれてたかもしれないレベル）
ロキソニンの過剰摂取…いや、「新薬の治験に積極的に協力」している人、
さながら、河川敷はリビングデッドご一行様のパレード状態でした。
そんな中、特に大きな異変が表れはじめたのがeliさんでした。
実はスタート前日までコンディションが悪く、そもそもフル（完走）にエントリーしていなかった彼が、
急遽最大の関門である「奥様０次関門」を見事にクリアしてしまったため、急遽フルにエントリーしてしまいました。
体調不良の影響は避けられず、実は往路の早い段階で河川敷のガレにやられ、ワラーチを履いた足はかなりのダメージを受けていました。
それでもポジティブ変換器を駆使し続け、河川敷を走破し、暴風雨の中ガレ場だらけのトレイルを走破し、
ともさんの幻覚を見（いや、eliさん、ホントにともさん来てくれたんだよ！）、
何とかキャッチアップしていました。
足が止まり、呼吸がままならなくなってしまいました…
どんどん遅れます。
もりけんがスイーパーでついていきますが、歩くもりけんにもついていけないレベル。
歩いては止まりを繰り返すうちに、かなり先を走っているメンバーからはどんどん引き離さていく状況…
もりけんも彼のペースに合わせられず、もはや脱落、DNFが頭をよぎり始めました…
二子玉川を越えたあたりで、メンバーが河川敷に腰を下ろし、皆でeliさんの到着を待ちました。
到着したeliさんの様子を見て、メンバー全員不安が、「全員で完走する」ことに対する不安が確信に変わろうとしているのをもりけんは見逃しませんでした…
とりあえず皆で腰を下ろし、暫しの休憩をとりましたが、きっと頭の中では皆同じことを考えていたんだと思います。
「DNFか…」
そんな時、何とウッチーがおもむろに、満面の笑顔で（もりけんにはそう見えた）、
「もうラスト！最後皆で頑張りましょう！」と高らかに宣言！
皆の、eliさんの目に再び力が宿るのをもりけんは見逃しませんでした…
単にもりけんが眠すぎて幻覚を見ただけかもしれませんが…
もりけんの状況把握ほどあてにならないものはないけど、
皆にスイッチが入った瞬間です。
スイーパーをウッチーにお願いし（スイーパーは走力がある人にやってもらうに限るw）、最後の道のりをサロ門に向け足を進めました。
もちろん、ダメージは消し去ることができず、足を進めると言っても、リビングデッド状態は変わらずですが、一歩一歩足を進めました。
途中、呼吸がしずらくなったeliさんが、多摩川に向かって雄叫びをあげる！
周囲に人がいたら通報されるレベルでしたが、神は見ている。
eliさんも周りを見ている…
ほぼ誰にも見られなかった…
呼吸が楽になったのか、徐々にペースが上がる！！！
「精神が肉体を凌駕し始めたか」by安西先生
もう、晴子ちゃんも号泣ですよ！
eliさん、復活、いや復活ではなく閾値を超えました。
その後はもう殆ど無音の世界。
まさに湘北が山王を倒す瞬間…いや、バスケじゃないです。
残り何キロとかもうどうでもよくなって、
そろそろサロ門、
そろそろ見える、
そこ曲がったら！
いや、まだだった！
今度こそ！！！
キロ５分切ってたと思いますよ。
限界を超えた人間の姿は神々しい！
はい、どーん！
５人で完走で、第１回勝手T.D.Tのメインイベントは無事閉幕しました。
現在、完走から1週間がすぎ、若干記憶がポジティブ変換されていますが、
なるべく事実に基づいて、脚色のない振り返りをしてきたつもりです。
これを読んでくださった皆さん「いやいやいや、そこ違うだろう」とか言ってこないでくださいねw
そして繰り返しになりますが、何度でも言わせていただきます
「関わってくれた皆さん、本当にありがとうございました！」
次の100マイルは、あなたも是非ご一緒に！
（完）
